お酢は製法によって「醸造酢」「合成酢」「混合酢」「果実酢」に大別されます。そのうち、福山の黒酢は「醸造酢」に分類されます。原料は丸玄米と良質の水と糀だけです。製法は静置醗酵法です。糖化酵素、アルコール醗酵、酢酸醗酵の3つの工程を1つのカメ壺で行うという世界でも極めて珍しい醸造法です。太陽と地熱だけの自然のエネルギーで熟成し、1年以上かけてお酢になります。この様な醸造法では、カメ壺を静置するための広い場所が必要で、また、1年以上の時間を要するので大量生産ができません。そこで、一般の食酢メーカーでは、採算性のうえから、原料に米を使わず、95%のエチルアルコールを水で薄め、酢酸菌に必要な栄養源だけを加えた後、最後の酢酸醗酵の工程だけを行ってお酢を生産するという即席醸造法をとられているようです。もちろん、原料にアルコールを用いるので、アミノ酸や酢酸以外の有機物はほとんど含まれておりません。現在市販されている食酢のほとんどがアルコール酢です。
それに比べ福山の黒酢は、カメ壺の中に住み着いている特殊な酢酸菌の働きによって、長い時間をかけて多種多様なアミノ酸やビタミンB群が合成されます。