黒酢を造る上で慎重に対応したいことは、原料の素材の出来によって、その味や質が影響されてしまうため、原料を選ぶ時から気をつけなければいけないということです。鹿児島県福山町で造られている黒酢は、昔から伝えられているそのままの伝統製法で造るため、その手間は他の食酢に比べると造り上げるまでに大変な時間がかかっています。
原材料には、ミネラル分が豊富である丸玄米が選ばれています。丸玄米とは削る前の玄米ですので、とても殻が固く、殻をむくのはすべて手作業で作業を行うしかなく、そのためにどうしても時間はかかってしまいますが、その分、他の食酢にはない味と質が出来上がるため、手を抜くことはできません。
黒酢を造る時の要ともいわれる糀(こうじ)についても手作りで行われています。機械では微妙な製法に対応できないことと、質の高い黒酢を造り上げるためには長きにわたり黒酢造りをされている職人の技が必要となるからです。要といわれる糀は玄米を釜で蒸してから、人肌程度に冷まします。このときの温度管理も慎重にしなければいけません。ここで、味のまろやかさ、風味はここで決まるとも言われている重要な作業です。今後の糀の働きにも大変な影響を与えるところですので、こうしたところは、熟練した経験と勘を持った職人の手で造り上げることによって最高の黒酢ができるということなのです。糀は使い切りが原則といわれています。糀は仕込むたびに造ることで質の良い黒酢ができます。もったいないようですが、ここも手を抜いてはいけないところです。
黒酢は生きています。玄米を使うということは熟成期間にも成長をしているかのように栄養分が増えています。しかし、熟成の具合は均一化が出来上がりの質を決めかねないため、毎日の点検を行うのはもちろん、週のうち2~3回は、壷の中に空気が入るように心がけ、中に増えてきた菌を窒息させないように丁寧に混ぜる作業が必要となっています。
手間ひま惜しまず、職人さんの技術がふんだんに活かされ、子どもを育てるように愛しみ、しっかりと黒酢は造り上げられています。栄養価を高めるために、同じ壷の中で作られたもろみ酢や、納豆キナーゼ、大豆ペプチドなども配合し、パッケージにする時にはひとつひとつを目で確認しています。そういったことからも、さらに栄養管理に余念のない黒酢が完成しています。