「肝油」といえば、昔よく飲まれていた苦い液体や甘いドロップを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。肝油の歴史についてご紹介します。
戦後の日本は、食料が不足し食生活は豊かなものではありませんでした。その頃の食事では、栄養も偏り不足していたと思われます。こういった背景のもと、ビタミンAとビタミンDを豊富に含む「肝油」のドロップが登場し、国民の間で爆発的に普及しました。肝油ドロップは学校給食の栄養補助として幼稚園や学校などで積極的に配布され、多くの子どもたちの健康を支えたのです。その後は、アジアの国々にも輸出され、海外に住む子どもたちの健康的な成長にも一役買っています。
肝油は、世界各地で人々に親しまれてきました。肝油といっても原料にはいくつか種類があり、鮫だけでなくタラやエイの肝臓から抽出したものも肝油と呼ばれています。その中でも、鮫の肝油は注目され続けています。
中国がまだ明と呼ばれていた時代の書物にも、鮫肝油の効能について述べられており、漢方薬の一つとしてすでに使われていたとも言われています。その他、海や沿岸地域を舞台にした小説にも登場しています。それが、作家ヘミングウェイの「老人と海」。主人公が一杯の肝油を飲み干し、元気の源だと語る場面があります。そのまま飲むには厳しい味だったと思いますが、それでも飲む価値があるほどの栄養が肝油に含まれているのです。肝油は、昔から人間の健康維持のために注目されていたのですね。

1906年、茨城県つくば市の産業技術総合研究所で水産動物油脂に関する研究を行っていた辻本満丸博士によって、鮫の肝油からの成分「スクアレン」は発見されました。その後、博士はスクアレン研究に打ち込み、海外でも研究を発表。結果、多くの研究者がスクアレンの研究を開始しました。辻本博士は、油脂化学の生みの親とも言われ、世界的に研究業績を残されています。今では、世界中で美容にも健康にも欠かせない成分となった「スクアレン」は、実は日本人によって生み出されたものだったのです。
![]() |
|
![]() |















