2019.4.09更新
黒酢醸造の工程。職人たちによる黒酢づくり
1,800年頃の江戸時代後期に鹿児島県福山の地から始まった壺による米酢づくり。
水・米・糀というシンプルな材料でつくられる黒酢造りでは、壺の一つ一つを職人たちの匠の技術によって、毎日見て回るという大変な作業を行っています。
黒酢醸造の工程をご紹介
えがおの黒酢の原料は米・糀・地下水の3つからなります。
独自製法により、「蔵」でもない「工場」でもない「壺」の中という、世界で類を見ない製造方法により我が子を育てるように一壺ずつ愛情を込めてつくられています。そのため、壺が一つ一つ敷き詰められた黒酢がつくられる敷地は「壷畑」として知られ、毎年多くの方が見学に訪れます。
黒酢の仕込みは年に2回、春(4月~6月頃)と秋(9月~10月頃)に職人の手によって一つ一つ行われていきます。壺によってつくりだされる黒酢は、まだ学術的に解明されてない部分も多いのですが、壺の中で、糖化、アルコール発酵、酢酸発酵が自然に進行するという類まれな製法なのです。製法を一つずつみていきましょう。
【1.仕込み】
壺畑に並べられた壺に毎年、春と秋の2回仕込みを行います。壺の中には黒酢造りには欠かせない微生物が住み着いており、糀、蒸し米、地下水、糀(振り糀)の順番で壺に注ぎこまれます。江戸時代から使われている薩摩焼の壺は、今でも仕込みに使われています。
【2.糖化】
仕込み直後から、糀が蒸し米のでんぷんを分解してブドウ糖を作っていきます。振り麹が菌糸を伸ばしてふくらんでいきふたの役割を果たすのです。
【3.アルコール発酵】
ブドウ糖は、酵母の働きによってアルコールへと変わります。この発酵は糖化と並行して進み、仕込みから1~2ヶ月ほどかかります。その間のアルコール発酵中の壺ではプクプクと発酵の音が聞こえるそうです。
【4.酢酸発酵】
アルコールができると振り糀は自然と液中へと沈みはじめます。時間の経過とともに酢酸菌の働きによってアルコールは酢の主成分である酢酸(さくさん)へと変わります。水面の振り麹が下に沈むと発酵が終わった合図で、ここまで仕込みから約半年ほどかかります。その間も、職人たちは毎日「撹拌棒(かくはんぼう)」と呼ばれる竹の棒を壺に入れ、黒酢の熟成を促すと同時に、透明度や色、匂いなどを確認をしていきます。この作業も江戸時代から 続く伝統的なやり方です。
【5.熟成】
酢酸発酵が終わると「壺寄せ」という現酢を壺にまとめる作業を行った後、さらに半年~3年ほど壺の中で熟成させます。熟成することで少しずつ色づき、黒酢となります。このように自然の力と醸造技師の手で育まれた黒酢は、独特の香りとコクがあり、味もとてもまろやかなものになります。
200年もの間受け継がれている壺造りのことを職人さんたちは子育てのようだと言います。屋外の天日でつくられる壺づくり黒酢は、壺ごとに発酵や熟成の進み方が異なります。そのため、発酵から熟成するまでの間、五感すべてを使い確認するというまさに「我が子を見守る」ように愛情を注ぎ黒酢造りが行われているのです。